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くるみ割り人形(後編)

バレエコラム 2020.07.27
今回は前回に続き、チャイコフスキー3大バレエ最後の作品、「くるみ割り人形」の後編についてです。
これまでご紹介してきた、チャイコフスキー3大バレエの集大成としてふさわしい、豪華なキャラクターが、たくさん登場する作品です。

では、「くるみ割り人形」に登場する、主なキャラクターについて、紹介します。

目次

くるみ割り人形の裏話

まずは、物語のタイトルでもある「くるみ割り人形」についてです。

はじめは、クララに贈られた、ただのおもちゃでしたが、後半には、美しい王子様に姿を変える、という不思議な存在です。

そもそも、なぜ「くるみ割り人形」なのでしょうか。

実は、「くるみ割り人形」は、ナポレオンをイメージしている、といわれています。

原作の物語がつくられた当時は、ナポレオン戦争で、ドイツが荒廃した時期でした。

人々は、兵士たちが、苦しい生活を強いられる中、ナポレオンに似せた人形に、硬いくるみを割らせることで、不満を解消していた、といわれています。

そんな憎まれ役の「くるみ割り人形」でしたが、現在では、すっかり、クリスマスのキャラクターとして、愛されていますね。

実は、この物語には、あまり知られていない「プロローグ」がある、といわれています。

「むかし、ある王国で王子が誕生し、それを祝う、豪華で華やかなパーティが、行われていました。

しかし、そのパーティの最中に、誰かが誤って、ネズミの女王を、踏みつけてしまいました。

それに、怒ったネズミの女王は、お祝いの主人公である王子に、呪いをかけ、くるみ割り人形にしてしまったのです。」という背景があったそうです。

つまり、物語の中で、ネズミが真夜中に、「くるみ割り人形」に襲いかかってきたのには、ネズミの女王の仕返しという理由があったのです。

なんだか、「眠れる森の美女」のお話しによく似ていますね。

オーロラ姫の誕生のお祝いに、招待されなかったことに怒って、オーロラ姫に呪いをかけた、「悪魔・カラボス」のようです。


クララ

この物語の中心人物、少女・「クララ」についてです。

彼女は、お姫様でも、動物でもない純真な性格の「少女」です。

「白鳥の湖」のオデット姫や、「眠れる森の美女」のオーロラ姫とは全く異なるヒロインです。

クララは、魔法で白鳥に姿を変えられてしまう「オデット姫」や、魔法で100年の眠りにつく「オーロラ姫」ような「非日常」のお姫様ではなく、おうちでクリスマスパーティーを楽しむ「普通の少女」なのです。

とても身近に感じられる、親しみやすいヒロインですね。

そんな「クララ」は、伯父・ドロッセルマイヤーから贈られた、不格好な「くるみ割り人形」を大切に想う、心の優しい少女です。

そして、ネズミの大群に襲われていた「くるみ割り人形」を、自ら救い出す、勇敢な強さも持ち合わせています。

「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」に登場する、これまでの姫(ヒロイン)は、王子様(ヒーロー)によって救い出される、という展開でした。

しかし、くるみ割り人形」では、一人の少女(ヒロイン)が、王子様(ヒーロー)救い出すのです。

ただじっと待っているのではなく、力強い行動力をもったヒロインです。

たくましく、自分で運命を切り開く、新たな時代のヒロイン像が感じられますね。


お菓子の国の住人たち

お菓子の国では、 「チョコレートの精」、「コーヒーの精」、「お茶の精」、「トレパックの精」などが、登場します。

これらの踊りは、「キャラクターダンス」とよばれる民族舞踊が、多く組み込まれています。

クラシックバレエ とは異なり、足を踏み鳴らしたり、手を叩いたりして踊る、力強い動きが、魅力的なダンスです。

「チョコレートの精」は、フラメンコを彷彿とさせる、スペイン舞踊の動きが、もとになっています。

実は、スペインは、ヨーロッパで初めてチョコレートを食した国だそうです。

大航海時代、スペインの冒険家が、カカオ豆を発見し、スペインに持ち帰ったといわれています。

「コーヒーの精」は、アラビアの舞踊が、使われています。

アラブ風のエキゾチックで、妖艶な雰囲気の踊りが、とても素敵なキャラクターです。

「お茶の精」は、チャイナ服に似せた衣装で、登場します。

軽快な音楽で、飛んだり、跳ねたりする、コミカルな動きが特徴的です。

「トレパック」という大麦糖の飴菓子の精は、ロシアの民族舞踊「コサックダンス」が、振り付けに用いられています。

このように、お菓子の国の住人たちの踊りには、異国情緒あふれるダンスが盛り込まれており、世界とのつながりを、感じられるシーンです。

なかなか自由に、海外旅行に行くことのできない昨今ですが、代わりにこの作品で、世界旅行に行った気分に浸るのも、良いかもしれませんね。

そして、物語のクライマックスで登場する「金平糖の精」についてです。

「お菓子の国の女王」として、王子とクララを、暖かく出迎えてくれる、偉大な存在です。

日本では、「金平糖」と訳されるのですが、ヨーロッパでは、アーモンドを、カラフルな砂糖の衣で覆った「ドラジェ」という砂糖菓子のことを表します。

フランスでは、出産や結婚などのお祝いで、贈られるお菓子だそうです。

この「金平糖の精」は、物語の影の主役、とも言える存在です。

優しく、全てを包んでくれる、母のような妖精。これは、クララが思い描く、「理想の女性像」だと、いわれています。

クライマックスのシーンでの、王子様と踊る場面は、作品の大きな見せ場の一つです。

演出によっては、クララ役が、一人二役で「金平糖の精」を演じることもあります。

甘く華やかなキャラクターたちが、たくさん登場するバレエ「くるみ割り人形」には、お菓子や、世界の国々など、夢がたくさん詰まっています。

まさに、「三大バレエの集大成」というべき作品ですね。


おわりに

さて、今回は、バレエ「くるみ割り人形」に登場する、主なキャラクターについて、紹介しました。

三大バレエの最後にふさわしく、華やかで、豪華なキャラクターばかりですね。

そして、華やかさだけでなく、異国情緒あふれる世界観が、ふんだんに盛り込まれている作品です。

なかなか、自由に旅に出られない今だからこそ、「くるみ割り人形」の世界へ、旅をしてみるのはいかがでしょうか。

ヨーロッパでは、「くるみ割り人形」は、クラシック音楽の年末の定番として親しまれています。

日本で言うと「第九」のようなものでしょうか。

今年も残すところ、あと半年です。

まだまだ、不安な日々が、続いていますが、 ゆっくりと「くるみ割り人形」を、楽しめるような年末が、やってくることを願いたいですね。

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